レポート

2024-04-30 近況

春爛漫の奥能登より

風雪厳しい冬が過ぎ去り、今年もソメイヨシノがあたり一面を淡い桜色に染めるなど、珠洲ホースパークにも明るく、朗らかな春がやってきました。元日に発生した地震の名残は、依然として珠洲市内のあちこちに残るものの、季節の移ろいに歩調を合わせるように住居をはじめとする生活環境が整ってきたことで、一時的に県外へ避難していたスタッフもホースパークに戻ってきました。少しずつ従前の活気を取り戻しつつあることは確かで、在厩馬のケアも十分に行うことができるようになりました。

そんな珠洲ホースパークの一日について、現地で指揮を執る足袋抜(たびぬき)さんに伺いました。「朝は6時45分に集合、ここから一日がスタートします。7時に朝カイバをつけ、馬体をチェックしながらブラッシング、それらを終えた馬から放牧地に連れていきます。午前中は馬房の清掃や市内にある井戸から軽トラで水を運搬し、併行して各馬のコンディションに合わせた運動を行います。正午前後には昼カイバの牧草を放牧地に入れます。午後も各馬の運動を行い、15時に収牧します。その後は夕カイバをつけたうえで馬体のチェックを行い、放牧地の整備(ボロ拾い等)で一日の作業が終了します」。

角居さんも頻繁に珠洲ホースパークに入っており、カウディーリョをはじめとする在厩馬たちの運動を主に行っています。角居さんはカウディーリョに乗った感想を聞かれると「カウくんは着実に身体のバランスが整ってきて、ここ最近は力強い脚捌きを見せるようになってきました。震災直後は地割れにやや抵抗があり、道路を歩くことにストレスを感じている様子でしたが、そう時間もかからず慣れてくれました。頻繁に行き交う復旧車両や重機が発する音にも慣れたようで、今では気分よく市内を散歩することができていますよ。それでも震災で多かれ少なかれストレスがかかっていることに違いはないので、些細な変化も見落とさないように努めています。しっかりと運動していくことで体力を養い、暑い夏を乗り切れるコンディション作りを行っていければいいですね」と、額の汗を拭いながら話してくれました。

ここ最近の馬社会について、「どの馬もちょっとの揺れでは動じなくなっており、“群れを守る”といったリーダーシップが必要とされるシーンは確実に減っています。それに加え、放牧地一面に青草が生えてきたことで自分の好きな場所でバラバラに草を食むことも多く、接触の機会が少なくなったことも影響してか、カウくんに何が何でもボスの座を奪い取る、といった様子は見られません。まぁ、もともと仲間とうまくバランスを取ってきたタイプでもありますしね。基本的にボスはアルくんのままですが、時にはぶつかることもあり、そんなときカウくんは逃げないんです。自分の力を誇示している感じで、場面によってはボスが入れ替わって見えることもしばしばです。セリちゃんとは相変わらず仲がよく、一緒にいることが多いですね」と、角居さんは興味深げに解説します。

最後は角居さんからのメッセージで締め括ります。「うち(みんなのウマ)のホームページに支援金に関するアナウンスを掲出していますが、とても多くの方から温かいお気持ちを寄せていただいています。大変有難い限りです。この場をお借りして御礼申し上げます。現在、地域、そして地域住民の復興に向けて、みんなのウマや珠洲ホースパークができることを模索しており、地域を喜ばせる、元気にする企画を実現できればと考えています。もちろん、皆様にもカウくんたちと触れ合っていただきたいと強く思っています。現時点でもホースパークに来場いただくことはできますが、上下水道の完全復旧には至らず、また、宿泊施設についても生活インフラの復旧に携わる方々が利用していることもあり、何の不自由もなくお楽しみいただくには、もう少しだけ時間を要しそうです。それでも前に進んでいることに違いはなく、皆様が馬たちと触れ合い、人馬ともに幸せな時間を過ごす日が一日でも早く訪れることを願ってやみません」。

馬生初?のお花見 気分は最高~♪

角馬場でしっかりトレーニング中

お仲間さんと楽しいランチタイム

角居さん、今日も一緒にお散歩だね^^

お散歩途中で青草をモグモグ、至福の時♪

<< BACK